海外に帯同するのは、はた目にはわからない苦労がたくさんあり、帯同をきっかけに心を病む人、離婚に至ってしまう人もたくさんいます。
この記事では、海外へ配偶者を帯同する方へ向けて配偶者への配慮の必要性を解説します。
私の駐在員時代の反省も多分に含まれます
記事を書いているのはこんな人
ぺとり
- 過去に駐在員を経験
- 現在、現地採用でシンガポール勤務
- シンガポールで妻・子供2人・ヘルパーさんの5人で暮らしています。
帯同にまつわる夫婦間の問題
私は、前職で海外派遣の多い会社で働いていましたが、非常に離婚の多いことで有名でした。また、駐在中に配偶者が飛び降り自殺未遂をしたとか、うつ病になったので駐在が打ち切りになった、ということも実際にありました。
どうしてこのようなことが起こるのでしょうか?
両者の認識の違いが大きな原因
駐在員は帯同者に対して以下のような認識をもっているかもしれません。
帯同者は、仕事もせずに家でのんびりしていればいいんだから、別につらいことなんてないでしょ。
私は、仕事で海外に来ているんだから、家のことはパートナーに任せて仕事に集中したい!
このような認識で、駐在で働く駐在員は、仕事で忙しく働き、家庭のことをパートナーに押し付けがちになります。
一方、帯同者側の認識は、以下のようなものになります。
夫は、平日は仕事、休日はゴルフと言ってぜんぜん帰ってこない。帯同している意味ある???
仕事を辞めてついてきたのに、家庭のことを押し付けられているうえに、何か上から目線で接してくる。こっちはお前の奴隷じゃないんだよ!
このような両者の認識は、のちのち、修復不可能なほど大きなみぞを生むことになります。
悲しいすれ違いを生まないために
このような悲しいすれ違いを生まないためには、どのようにすればいいでしょうか?
海外についてきてくれているだけでありがたいと思おう
そもそもの心構えとして、海外で勤務する方は配偶者が海外についてきてくれていることに感謝の気持ちを忘れないようにしましょう。
もしかするとあなたは自分が海外に行くのだから、配偶者が帯同するのは当然だ、と思っているかもしれません。
でも本当は、配偶者はいろんなものを捨てて帯同してくれているのです。仕事を辞めキャリアを捨てたり、友人関係を、家族関係と引き換えに帯同しています。それも縁もゆかりもない海外の地に、配偶者のあなたと過ごしたいといってついてきてくれているのです。
そのことに感謝を忘れないようにしたいですね。
忙しくしていると、忘れてしまいがちですが、いろんなものを犠牲にして帯同してくれた配偶者には、それだけでありがたい話だと思いましょう。
意識して配偶者と話をする時間を作ろう
駐在員をやっていると、上司や客先から飲み会のお誘いも多かったり、休日もゴルフだなんだと、家で過ごす時間は短くなりがちです。なにしろ、現地にいる日本人の数は限られていますから、いろんな種類の依頼が押し寄せます。
しかし、このように忙しく過ごすことが、配偶者との修復不能のすれ違いを生むのです。
特に、最初の数か月、帯同した配偶者には、日中、親身に相談に乗ってくれる人はいません。話せるのは、あなただけです。
だから、特に、帯同の最初のうちは、平日はできるだけすぐに家に帰り、休日は会社の予定を入れないなどして、意識して配偶者と話すようにして欲しいと思います。
話しても愚痴ばかりかもしれません。でも、ちゃんと聞いてあげてください。それだけで、だいぶ楽になるはずです。
立場の変化を利用しない
駐在員・海外勤務者のモラルハラスメント(モラハラ)発言が、よくXで話題になっています。
例えば、
1日中、家にいるんだったら、現地語の勉強でもしたらどうだ!?俺がお前の立場だったら、日々を漫然と過ごさないね!
誰のおかげでこんないい家に住めていると思っているの!?
というような感じです。
実は、今までそんなことなかったのに、海外で働くことになった途端、モラハラが始まったという事例もあり、海外へ配偶者を帯同するという状況には、モラハラを起こしてしまいやすい要因があるようなのです。
例えば、
役割の固定化:家庭内での役割が固定化され、駐在員が主導権を握ることで、配偶者の意見や感情が軽視されやすくなる。
俺が外で仕事しているんだから、お前は家のことをするのが当然だろ!?
経済的依存: 配偶者が現地で働くことが難しく、経済的に依存する状況が生まれることで、駐在員が優位な立場に立ちやすくなる。
誰のおかげでこんないい家に住めていると思っているの!?
仕事のストレス: 駐在員自身が異国の地での仕事のプレッシャーや高い期待に対するストレスを感じ、それが家庭内での態度や行動に反映されることがある。
俺が外で死ぬ気で働いているのに、お前は家でゴロゴロしているだけか!?
このような駐在・帯同による立場の変化は、気づかないうちに駐在員・海外勤務者のあなたをモラハラ夫・モラハラ妻に変えてしまうかもしれません。
帯同に際して、海外で働くあなたが偉くなったわけでも、帯同している配偶者がさぼっているわけでもありません。あなたが海外に行くと言ったから、しょうがなくついてきて、結果的にそういう立場に押し込められただけなのです。
せっかく、大変な目に遭いながら一緒に住んでいるのです。モラハラ行為をしないように、海外生活中は特に意識したいですね。
おわりに
帯同する配偶者への配慮について、経験をまじえてまとめました。
海外についてきてくれた配偶者に感謝の気持ちを忘れずに、家族でハッピー海外ライフを送りたいですね!
記事がどなたかの役に立てば幸いです