シンガポールで働くときに、誰もが気になるのが「手取りはいくらになるのか?」という点です。
給与明細には年収が記載されていても、実際に支払う税金の計算方法がわかりづらかったり、「控除ってなに?」と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
この記事では、年収と控除額を入力するだけでシンガポールの所得税(住民税)を簡単に計算できるWebツールをご紹介します。
税率の仕組みや、手動で計算する方法もあわせて解説しますので、海外就職や転職を考えている方、シンガポールにお住まいの方はぜひご活用ください。


- シンガポールで妻・子供2人・ヘルパーさんの5人で暮らしています。
- 現在、現地採用でシンガポール勤務
- 過去に駐在員を経験
シンガポール税金シミュレーター
まずはこちらのツールをお試しください👇
[シンガポール税金シミュレーター]
年収と控除額を入力すると、課税対象額と税額を即座に表示します。
シンガポールの税率の仕組み
シンガポールの個人所得税は「累進課税制度」を採用しています。
これは、所得が多くなるにつれて、より高い税率が適用される仕組みです。
以下は2024年以降の税率一部抜粋です:

例えば、課税所得が25,000ドルの場合、最初の20,000ドルには0%、残りの5,000ドルには2%が課され、税額は100ドルとなります。このように、収入全体に同じ税率がかかるわけではなく、段階ごとに異なる税率がかかる点が特徴です。

日本も同じ仕組みですが、同じ給料で考えた場合、日本の方が税金が高くなる場合が多いです。
控除とは?
課税所得を計算する際、「年収から何を引けるか(=控除)」も重要なポイントです。
シンガポールでは以下のようなものが控除(relief)として認められています:
- CPF(中央積立基金)への拠出額(主にシンガポール人/PRが対象)
- Earned Income Relief(就労所得控除)
- Parent Relief(親の扶養控除)
- Spouse Relief(配偶者控除)
- Course Fees Relief(学費控除)
- Life Insurance Relief(生命保険料控除)



これらの控除(Tax relief)分の金額を収入から差し引くことが出来るため、税金を減らすことに貢献します。
外国人労働者(外国籍かつPR未取得者)の場合、CPFは対象外であることが多いため、控除の幅は狭くなる傾向にあります。正確な控除額がわからない場合は「0」で試算しておくと保守的で安心です。
シンガポール税金シミュレーターの仕組み
このツールは、入力された年収と控除額から課税所得を計算し、そこにIRASが定める累進課税のロジックを段階的に当てはめて、総額の税金を出しています。
たとえば、課税所得が200,000ドルだった場合:
- 最初の20,000 → 0%
- 次の10,000 → 2%
- 次の10,000 → 3.5%
- …
- 最後の40,000 → 18%
このように、すべての階層にまたがって個別に税額を計算し、合計を出しています。
手動で計算する場合
Excelを使って計算
もちろん、Excelや電卓で手動計算することもできます。
以下は計算の流れの一例です
課税所得180,000 SGD の場合:
- 0〜20,000 → 税額 0
- 20,001〜30,000(10,000)→ 2% → 200
- 30,001〜40,000(10,000)→ 3.5% → 350
- 40,001〜80,000(40,000)→ 7% → 2,800
- 80,001〜120,000(40,000)→ 11.5% → 4,600
- 120,001〜160,000(40,000)→ 15% → 6,000
- 160,001〜180,000(20,000)→ 18% → 3,600
合計税額:17,550 SGD
IRASの税金表から計算
IRASの税金表(こちら)を使うともっと簡単に計算できます。
課税所得180,000 SGD の場合:
まず、180,000 SGD が表のどこに当てはまるのかを確認します。すると、180,000 SGDは、160,000SGD以上200,000 SGD未満なので下の部分の税率が適用されることが分かります。


① 160,000 SGDまでの税金の合計は、親切にも表に書かれています(13,950 SGD)


② 160,000 SGDを超える部分には18%の税金がかかりますよ、と書かれているので、これを元に計算します。(180,000 – 160,000)x 18% = 3,600 SGD


①部分の税金13,950 SGDと②部分の税金3,600SGDの合計が、税金になります。
つまり、13,950 SGD + 3,600SGD = 17,550 SGD
所得税どうやって払う?
日本では、個人所得税は源泉徴収されているので、特別にアクションしなくても所得税は払われています。
一方、シンガポールでは、給料をいったんもらったあと、翌年の3月-4月にTax Return (収入申告)をすることで税金が確定し、その後、銀行振り込みなどの方法で税金を払います。



次の記事に詳しくまとめています!




まとめ
シンガポールの所得税は、他国と比べて比較的シンプルで税率も低めですが、「累進課税」や「控除」の概念を理解しておくことで、より正確な資金計画が立てられます。
今回ご紹介したシミュレーターを使えば、年収と控除額を入れるだけで簡単に税額が確認できます。
特にこれからシンガポールで働く予定の方や、給与交渉・転職活動中の方にはおすすめです。



記事が参考になれば幸いです